アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」2018年審査員講評

選考委員長

田沼 武能

写真家

14回目となる本年も、全国各地から様々な働く姿が力作となって集まったことを嬉しく思います。
小中学生ではスマートフォンで撮影した縦位置の写真が増え、高校写真部では拘りぬいたモノクロの作品も多く見受けられました。全てに共通しているのは、どの姿も一生懸命働いており、撮影者がカメラを通してその姿をしっかりと捉えようとしたことがわかります。

小学生の部、グランプリの写真は耳鼻科の父親を撮影した一枚。ヘッドランプがあることにより、父親の真剣な眼差しが引き立っています。怯えながらも素直に診察を受けている子どもの表情が臨場感を与えています。

中学生の部グランプリは母親の笑顔が印象的な作品、今にも笑い声が聞こえてきそうです。荷物を持ち上げる躍動感と、活き活きとした表情が共に写し撮られており、ローアングルで構図を上手にとらえました。

高校生の部グランプリは、被災地の写真です。水に胸元までつかりながらもゴミの撤去をしている姿に、撮影者が心から感動していることが伝わってきます。自然災害が多かった本年を象徴するような一枚です。

昨今、労働に関する様々な問題を目にすることが多くなっていますが、働くことは社会に参加することであり、誰かの役に立つことでもあります。このコンテストを通じて働く意義や情熱を感じたことは、子どもたちにとってキャリア教育につながる良い機会となったのではないでしょうか。

選考委員
わだ ことみ
絵本・構成作家

第14回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」に、ご応募ありがとうございました。今年もとても楽しく審査をいたしました。応募写真を見て、また作品の説明も読み、皆さんがカメラのシャッターを切る時、心の中のカメラでも写真を撮っているのだなと思いました。

お店で働いている方のにこにこ笑顔から、「他の人の役に立つ仕事をするってステキだな!」

工場で真剣なまなざしで働いている方の姿から、「働くって、尊くてかっこいいなあ!」

家族が働いている写真では、いつも家ではのんびりしているお父さん、お母さんが職場で一生懸命働いている姿を初めて見て、「ぼくたちのためにありがとう」と感謝の気持ちを持ったことなどが書かれていました。

皆さんの感じたことが一枚の写真の中に凝縮されているんですね。写真を撮る時、相手の方の心に触れ、皆さんはいろんなことを感じ、考え、憧れ、感謝し……これって、とても素晴らしいです。これからも豊かな感受性と優しく温かな心で、たくさんの写真を撮ってください。

選考委員
別府 薫
朝日小学生新聞・朝日中高生新聞編集長

会議室の机の上いっぱいに広がる写真、写真、写真……。今年から最終選考に加わった私は、まず写真の数に圧倒されました。選考委員は、机を回って写真を一つひとつ審査していきます。働くよろこびが伝わる笑顔、作業に集中する真剣な表情など、働く人たちの一瞬を切り取った写真はもちろん、添えられたコメントにも時間を忘れて見入ってしまいました。

新聞に載せる写真の場合、一枚でなるべく多くの情報を読者に伝えることを心がけます。どんな職業なのかがひと目でわかり、お医者さんだったら患者さん、先生だったら生徒たちとの関係性、さらには仕事に向き合う思いまで伝わると「いい写真だね」ということになります。朝日小学生新聞と朝日中高生新聞にも職業紹介のコーナーがありますが、みなさんの作品は、そのまま紙面に載せたいと思えるものばかりでした。

小学生のみなさんは、家族や先生など身近な人たちの働く姿をとらえた作品が多かったですね。カメラを向けることで、おうちの方たちが、日ごろからどんな思いでみなさんのために働いているかに気づいたのではないでしょうか。学年があがるにつれて、視点が社会へと広がっていくようすがうかがえました。高校生の作品はしっかりと取材されていて、「この職業の魅力を伝えたい」という意志が伝わってきました。

働くことは、生きること。みなさんが将来、どんな仕事をするにせよ、写真に写っている方々のように、自分だけでなく、まわりの人とも働くよろこびを分かち合える大人になってほしいと願っています。

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