アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」2019年審査員講評

選考委員長

田沼 武能

写真家

本年も全国各地からバラエティに富んだ様々な働く姿が届きました。夏休みに帰った田舎で祖父母を撮影した写真や、近所の商店街で働く人を感謝と共にとらえた写真、初めて家族の働く姿を見た驚きまで表現された写真など、甲乙つけがたい作品が並びました。

小学生や中学生ではスマートフォンで撮影したであろう写真が、高校生では撮影後に様々な補正や加工をした写真も増えました。まさに時代を反映した作品作りとも考えられます。

小学生の部グランプリの写真は酪農家の祖母を撮影した写真です。一生懸命働いている姿を孫が撮ろうと近付き、それに気づいて顔を上げた祖母の優しい表情が印象的です。孫を慈しむ気持ちも、祖母を大好きな気持ちも伝わってきます。

中学生の部グランプリは花屋の一シーンを写した一枚。働いている人の笑顔と抱えている植物の赤がとてもよくマッチしており、花が好きで働くことを楽しんでいる雰囲気を写し撮っています。

高校生の部グランプリは、消防士の写真です。笑顔の一言に尽きる作品ですが、消防車との構図なども考え消防士が主役になるように撮影されています。

本年で15回目を迎える審査ですが、職種は変われども働くことの神髄は変わりません。一つひとつの写真に物語があり、子どもたちの目線で捉えた写真には、働くことへの情熱や喜びが映し出されています。いつか働くことになる子どもたちが、写真を撮ることを通じてその意義を感じ、自分たちも誰かのために働きたいと思うきっかけとなれば嬉しい限りです。

選考委員
わだ ことみ
絵本・構成作家

第15回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」の作品、大変楽しく拝見しました。皆さんの素晴らしい写真や説明文を読んで、本当にいろいろなお仕事があるんだなあと思いました。

夕食に食べるお刺身にしても、まずは海で漁をする漁師さんが魚を獲り、その魚を市場まで運ぶ運送会社の方、漁業市場で競りをする方、魚を解体する方、そしてスーパーやお店で刺身を売る方がいて、私たちは初めてお刺身を食べられます。旅行をするにも、切符の手配から、バスや電車の運転、交通の安全を守るプロの仕事に支えられて楽しく旅行できます。皆さんの写真から、私たちは多くの働く方に支えられていると、実感します。

「はたらくすがた」の写真を撮る前に、どんな仕事、誰を写真に撮ろうか考えますよね。はじめて、将来の仕事や家族の仕事について考えた人もいると思います。それって、すごい事です。これからも写真を撮りながら、たくさんの事を感じ、考え、気づいてください。

選考委員
別府 薫
朝日小学生新聞・朝日中高生新聞編集長

目は口ほどにものを言う――。みなさんの作品を見ていて、こんなことわざが思いうかびました。

牛の乳しぼりをしながら見上げた視線、植物の世話をするやわらかい表情、そして地域を守るたのもしい笑顔。写真の働く人たちから、直接声が聞こえてくるわけではありません。でも、そのまなざしから、それぞれの仕事への思いや情熱、誇りが伝わってきました。

みなさんはきっと写真を撮らせてもらうときに、働く大人たちの仕事ぶりをじっくり観察したり、お話を聞いたりしたことでしょう。そのうえで「どう撮ったら、一番すてきに見えるかな」とカメラを向けたのではないでしょうか。こうした「取材」の成果が、すばらしい作品に反映されています。

10年後、20年後は、みなさんが「はたらくすがた」を子どもたちに見せる番です。そのときに、とびきりの笑顔でいられるように、今回の経験を生かしてほしいと願っています。

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