
内定の通知を出したとしても、複数企業を並行して選考が進んでいる場合が一般的なので、全ての求職者がすぐに入社の意思を示すわけではありません。入社を前提に準備を進めていた採用側にとって、採用計画が思うように行かない事態は一大事です。しかし、そんな状況下においても求職者は今後仕事での関わりがあるかもしれない存在のため、丁寧な対応を取ることが求められます。
そこで今回は、採用を辞退された場合の対応の仕方をご紹介します。そのまま辞退を受け入れる場合と引き留める場合についてのメールの例文も紹介しているので、参考にしてください。
採用辞退者への対応ポイント
採用の辞退の連絡を受けた際、注意したいポイントがあります。
感情的にならない
採用担当者としては納得できない状況もあるかもしれませんが、感情に任せて行動することだけは避けなければなりません。
採用の辞退で感情的にならないために重要なのは、「入社意思をもらうまでが採用活動」という意識を持つことです。採用を辞退されて感情的になるのは、内定を出したら入社してもらえることを前提として考えているからとも言えます。
このような考え方は、企業が応募者を選んでいるという考えに他なりません。しかし企業が応募者を選ぶように、応募者も企業を選ぶ立場にあると理解しましょう。このことから、採用活動の施策を検討する際は採用辞退が発生した場合のことも想定したスケジュール構築も盛り込むようにしましょう。
求職者の気持ちになって考える
採用辞退が発生したら、求職者の心情も慮りましょう。最終面接まで残ったということは、求職者にも途中までは入社したい気持ちがあったと推測されます。何らかの事情によって辞退の連絡をした求職者も心苦しいはずです。
求職者が、勇気を出して辞退の連絡をしてきていることを考えて、その後の対応をできるだけ円満に進められるように意識しましょう。この時の対応次第で、求職者の企業への印象は大きく変わります。仮に別の企業に就職することになっても、ポジティブな印象を持っていれば別の形で自社へ貢献してもらえる可能性があります。反対に印象を悪くすれば、企業の評判を下げることにもなりかねません。現在はSNSなどで個人が発言できる環境もそろっているため、くれぐれも失礼な対応をしないようにしましょう。
なお「円満に進める」とは、必ずしも相手の希望を素直に受け入れるだけではありません。直接話をして素直な意見を聞くことができれば対応案が生まれるかもしれませんし、場合によっては引き留められるかもしれません。お互いに後悔せず、全ての可能性を探るためにも真摯な対応が重要です。
引き留める場合にはメールだけで説得しない
求職者を引き留めたい場合は、メールだけで説得をしようとしてはいけません。どんなに丁寧な文章であったとしても、引き留めるための長文のメールによい印象を持つ方は多くありません。また、文字だけではコミュニケーションが一方通行になってしまうので、求職者の繊細な心情をくみ取りにくくなります。メールでは、もう一度話したい旨を伝えて、日程調整をするに留めましょう。
直接会う機会があれば理想的ですが、内定を断った会社に再び足を踏み入れるのは求職者としても気が向かないでしょう。また、直接会う時間をとるのはスケジュールの都合で難しいことも考えられます。そのような時でもまずは電話で話す機会を作りましょう。電話であればメールに比べてアポイントの交渉もしやすいので、社外での面談などを提案するのもよいでしょう。「あなたが会社に必要だ」という気持ちを伝えることが重要です。

ただし、電話の際に気持ちを伝えた上で断られた場合は潔く辞退を受け入れましょう。
返信メールを必ず送信する

内定を辞退した後に企業から返信が来ない状況に、困惑している求職者は多いものです。「もしメールを確認されておらず、入社することになっていたら」「内定を辞退したことで怒っているのではないか」と求職者も気になってしまいます。お互いに何の音沙汰もなければ、トラブルに発展までしなくても、企業への印象が悪くなる可能性がありますので、辞退のメールへは返信するようにしましょう。
メール作成時は、件名を書き換えることを忘れずに行いましょう。「内定辞退の連絡」という件名のメールに返信するのであれば、「内定辞退の承諾」や「再検討のお願い」など件名だけで用件が分かるようにするのが望ましいです。
メール例文(シンプル)
最後に、メールの例文をご紹介します。まずはシンプルに辞退の申し出を受け入れる例文です。
============================
◯◯様
お世話になっております。
◯◯株式会社の◯◯です。
この度は数ある企業の中から弊社にご応募いただき、
まことにありがとうございました。
内定をご辞退とのこと、弊社としては大変残念ではありますが、
承りました。
〇〇様の今後のご活躍を陰ながら応援しています。
なお、応募に際してお預かりしたて書類に関しては、
弊社にて責任をもって破棄させていただきます。
なにとぞご了承くださいませ。
メール例文(引き留めたい場合)
内定辞退の連絡を受けたが、引き留めたい場合のメール例文を紹介します。
=========================
◯◯様
お世話になっております。
◯◯株式会社の◯◯です。
この度は、内定の通知にお返事を頂きありがとうございます。
恐れ入りますが、よろしければ内定を辞退された理由や背景について、
もう少し詳しくご教示頂けますと幸いです。
弊社としては、ぜひ◯◯様と共に働きたいと思っており、
待遇や条件に関して、可能な限り調整したいと考えております。
ご検討頂く余地がございましたら、
再度面談の機会を設けたく、ご都合のよい日程を
いくつか頂けると幸いです。
もし来社して頂くのが難しい場合は、
オンライン、もしくはお電話にてお話できる日程を
頂ければと思います。
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、
ご検討のほど、なにとぞよろしくお願いします。
まとめ
採用の辞退は採用担当だけでなく、求職者にとってもナイーブな出来事です。求職者の方も勇気を出して辞退の連絡をしていることを理解しましょう。この心情を考慮した上でお互いが最善の選択ができるよう、企業側から意識的にコミュニケーションの機会を多く作ることも重要です。このタイミングを逃すと誤解や違和感の残ったまま連絡が取れない事態にもなりかねません。引き留めの最後のチャンスでもあるので、真摯な姿勢で対応しましょう。