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エンゲージメントとは?意味や向上させる方法、調査方法について解説

ビジネス用語

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「エンゲージメント」は、シチュエーションによって様々な意味で解釈される言葉ですが、企業活動においては、従業員の会社に対する「信頼」や「愛着心」を意味します。
ここでは、エンゲージメントが人事分野で重視されるようになった背景と、エンゲージメントを導入するメリットや高める方法などについて解説していきます。

人事分野で使用する場合のエンゲージメントは「会社への愛着心」

英語で「約束、契約、婚約、雇用」を意味する「エンゲージメント(engagement)」は、人事分野においては、会社と従業員の信頼関係を表す言葉として使われています。

本項では、人事分野でエンゲージメントが注目されるようになった背景とその意味について説明していきます。

エンゲージメントが人事分野で使われるようになった背景

エンゲージメントが人事分野で注目されるようになった背景には、日本の雇用制度の変化があります。

日本の雇用制度は、長年にわたって終身雇用と年功序列を基本としてきました。しかし、この20年ほどの間に、日本の雇用制度は従来の終身雇用型から成果主義型へと変化を遂げました。それにともない、人事分野においてもそれまでの長期的な人材育成よりも、より短期間に業績をあげられる人材確保が優先されるようになりました。

こうした雇用制度の変化は、労働者の意識も変えました。ひとつの会社に長く勤めるのではなく、より条件のよい待遇や環境を求めて転職を繰り返すようになったのです。とくに、上昇志向が強い優秀な人材ほどこの傾向は顕著で、キャリアアップを求めて頻繁に転職をするようになりました。

これは会社側からすると、事業の中核を担う優秀な人材がほかの会社に流出してしまうことを意味します。会社にとって従業員はもっとも貴重な経営資源であり、優秀な人材の流出は非常に大きな損失となります。

このようなリスクを回避するため「エンゲージメント」が重視されるようになりました。エンゲージメントを高めることで、会社は従業員の愛着心や信頼を獲得することができます。会社がエンゲージメント向上に取り組む背景には、社員の愛社精神を高めて、離職率を下げるという目的があるのです。

人事分野におけるエンゲージメントとは

ビジネスシーンで使われるエンゲージメントは、「顧客エンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」の2つに分けることができます。顧客エンゲージメントは、会社と顧客の信頼関係を表します。一般的に、顧客エンゲージメントが高いほど顧客は会社に対して強い愛着を持ち、その会社が提供する商品を積極的に購入する傾向があります。

一方の従業員エンゲージメントは、従業員の会社に対する信頼度を表した言葉で、会社のビジョンに共感し、業績向上のために自発的に働こうとする意欲を指します。顧客エンゲージメントがおもにマーケティング分野で使用されるのに対して、従業員エンゲージメントは人事分野で使用されます。

エンゲージメントと従業員満足度の違い

人事分野では、エンゲージメントと似た考え方として「従業員満足度」というものがあります。従業員満足度とは、従業員が待遇や職場環境にどれだけ満足しているかを数値化したものです。「賃金、福利厚生、人間関係」などに関する質問をし、回答内容によって点数をつけて従業員の満足度を測ります。

エンゲージメントと従業員満足度の最大の違いは、会社の業績に影響があるか否かにあります。たとえば、賃金が上がれば従業員満足度はアップしますが、それによって会社の収益まで上がるということはありません。

それに対して、エンゲージメントは従業員の成長と会社業績との間に相関関係があります。「従業員の成長=会社の業績アップ」という互恵関係が、エンゲージメントの場合は成立するのです。

従業員エンゲージメントを高めることのメリット

従業員エンゲージメントを高めると、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 離職防止と定着率の向上
  • 会社への貢献意欲が上がり、生産性が向上する
  • 欠勤や事故率などの低下

それぞれどのような内容なのか、順番に見ていきましょう。

離職防止と定着率の向上

高い賃金や快適なワークスペースなどは、ある程度資金に余裕のある会社ならどこでも提供することが可能です。そのため、金銭的な条件や作業環境にしか魅力を感じられないような状態では、従業員はいずれより条件のよい会社へと転職してしまいます。

しかし、従業員エンゲージメントを通じて創出される愛社精神や働きがいなどは、その会社独自の魅力であり、ほかの会社では真似することができません。つまり、このような心理的価値を高めることで、従業員の離職を防ぎ、定着率の向上を果たすことができるのです。

会社への貢献意欲が上がり、生産性が向上する

エンゲージメントが高い組織では、従業員が会社の理念に共感し、業績向上のために自発的に貢献しようとします。また、会社に対する愛着も強いため、会社が抱えている課題に対しても積極的に取り組もうとします。そのため、従業員一人ひとりの作業効率がアップし、全体としての生産性も向上させることができます。

欠勤や事故率などの低減

エンゲージメントが高いと、従業員は会社の損失が出ないように注意するようになります。その結果、無用な欠勤をしないようになったり、工場作業などの場合は事故が起こらないように最大限気をつけたりするようになります。

エンゲージメントを高める方法

エンゲージメントを高める方法はいくつかあり、それらを適切に実行することで、従業員の信頼度や士気を向上させることができます。ここでは、従業員エンゲージメントを高めるために重要な4つのポイントについて見ていきましょう。

従業員に会社のビジョンや目標を明確に伝える

従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員に会社のビジョンや方向性を伝えて、価値観を共有することが大切です。

「自分の仕事が世間にどのような影響を与えているのか」を理解してもらうことで、従業員は仕事の社会的意義を自覚し、働きがいを感じるようになります。

社内コミュニケーションの活性化を図る

風通しのよい職場作りも、従業員エンゲージメントを高めるうえでは不可欠です。

社内コミュニケーションが機能していると、良好な人間関係が築かれ、従業員同士に信頼関係が生まれるようになります。そのようなつながりができると、従業員の意識の中に「このチームのために貢献したい」というポジティブな考えが生まれるようになります。

社内コミュニケーションを活性化するには、部下や同僚はもちろん、上司や他部署の社員とも気軽に意見交換できる組織風土の醸成が必要になります。そのためには、部門横断型のプロジェクトを実行したり、ランチ会の開催や社内サークルを設立するなどして、社員同士の交流を深めていくのが効果的です。

公平な人事評価制度の導入

従業員に会社のことを信頼してもらうには、公平な人事制度を導入することが重要です。 従業員エンゲージメントを高めるためには、「この会社は自分のことを正当に評価してくれる」、「成果を出したらその分だけきちんと報いてくれる」と、従業員に認めてもらうことも必要です。反対に、「この会社は社員のがんばりを認めてくれない」と思われてしまうと、従業員に不信感を抱かれてしまうので気をつけなくてはいけません。

人事評価の基準は、会社によって異なります。会社と従業員の間に認識のズレが生じないように、どのような基準で従業員を評価しているのかなど、評価のフィードバックを面談などで伝えることも忘れないようにしましょう。

エンゲージメントの調査(サーベイ)をおこなう

会社と従業員の絆の深さを表すエンゲージメントは、概念のため可視化することができません。そのため、エンゲージメントを高めるための施策を実行しても、実際にどのくらい効果があったのかを検証しづらいという欠点があります。

そのような問題を解決するために利用されるのが、「エンゲージメントサーベイ」です。エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントを測定するための社内調査です。アンケート形式で質問に答えてもらい、エンゲージメントを定量化(スコアリング)することで客観的に把握します。

エンゲージメントサーベイの方法

従業員の満足度や業務に対する意欲などを測定するために実施されるエンゲージメントサーベイは、一般的には、インターネットなどのアンケート調査でおこなわれます。本項では、エンゲージメントサーベイの手順と質問例についてご紹介します。

エンゲージメントサーベイの手順

エンゲージメントサーベイは、一般的に以下の手順に沿っておこなわれます。

  1. サーベイの目的説明(理解の促進)
  2. アンケート調査、結果から課題の把握
  3. 課題改善のための施策を実行
  4. 施策の継続化

各手順について解説していきます。

【1.サーベイの目的説明(理解の促進)】

組織が抱えている課題の全体像を知るためには、特定の部署の限られた社員だけでなく、すべての従業員を対象とした包括的な調査をおこなう必要があります。

また、事前に説明をせずにアンケートを実施すると、従業員のなかには戸惑ったり、評価への影響を恐れて正直に回答をしなかったりする人が出てくる可能性があります。そのため、調査をおこなう際は事前にサーベイの目的を伝えて、趣旨を理解してもらったうえで実施することが肝心です。

【2.アンケート調査、結果から課題の把握】

アンケートを実施し、調査結果を分析して組織課題を診断します。エンゲージメントサーベイを実施するには、さまざまな会社が提供しているツールやサービスを利用します。

【3.課題改善のための施策を実行】

調査結果がでたら、データをもとに会社の改善すべき問題を明確にします。そしてその課題をクリアするために、新たな人事施策を考案・実施します。

【4.施策の継続化】

組織が抱えている課題は、施策を継続して実行していかなくては解決することができません。施策は一度実行したら終わりではなく、効果を定期的に検証し、問題が見つかるたびに修正を重ねて改良していく必要があります。

エンゲージメントサーベイの質問例

会社が実施しているエンゲージメントサーベイは、どのようなアンケート内容になっているのでしょうか。以下は、アメリカの調査会社「ギャラップ社」の「Q12(キュー・トゥエルブ)と呼ばれる12の質問項目です。Q12は、エンゲージメントサーベイで利用される代表的な質問項目です。

  1. 職場で自分がなにを期待されているのかを理解している
  2. 職務を効率よく遂行するためのワークスペースを与えられている
  3. もっとも得意なことをする機会を毎日与えられている
  4. この7日の間に、よい仕事をしたと認められたり、ほめられたりした
  5. 上司や職場の同僚が、自分のことを気にかけてくれている
  6. 自分の成長を応援してくれる人が職場にいる
  7. 自分の意見は職場で尊重されている
  8. 会社のビジョンに共感できる
  9. 周りの従業員が質の高い仕事をしている
  10. 職場に親友がいる
  11. この6ヶ月の間に、職場の誰かが自分の成長について話してくれた
  12. この1年のうちに、仕事を通じて学んだり成長したりする機会があった

各質問に対して、「完全に当てはまる」場合は5点、「やや当てはまる」は4点、「どちらともいえない」は3点、「やや当てはまらない」は2点、「まったく当てはまらない」は1点で計算します。

合計点数が高いほどエンゲージメントが高く、従業員が会社に対して強い愛着心をもっていることを意味します。反対に、点数が低い場合は従業員の士気が低く、会社に対して不信感をもっている可能性が高くなります。もし全従業員の平均スコアが低い場合は、会社は何らかの対策を講じる必要があるかもしれません。

参考:
The Employee Engagement Group「THE RELATIONSHIP BETWEEN ENGAGEMENT AT WORK AND ORGANIZATIONAL OUTCOMES」

業績に影響も与える従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントを高めると、従業員の離職防止や業績向上などのメリットを享受することができます。エンゲージメントを向上させるには、従業員に会社のビジョンを伝えて組織としての目標を共有してもらったり、社内コミュニケーションを活性化させたりする方法があります。

自社の従業員エンゲージメントのレベルが知りたい場合は、エンゲージメントサーベイを実施しましょう。エンゲージメントサーベイで出た結果を分析することで、組織が抱えている課題を把握することができます。調査結果を診断し、具体的な人事施策に活用することで、働きやすい職場環境を実現しましょう。

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