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2023年度の都道府県別の最低賃金額が8月18日に出そろい、厚生労働省がとりまとめて発表しました。
各都道府県で39~47円引き上げられ、全国の加重平均額は前年比43円増の1,004円となります。物価高などを背景に初めて1,000円を超え、引き上げ額も過去最高となりました。
そこで今回は、最低賃金制度に関する解説と、2023年度の最低賃金引き上げの方向性などをまとめました。
Index
最低賃金制度とは?
「最低賃金制度」とは、「最低賃金法」に基づいて国が定めた最低賃金額以上の賃金を、使用者が支払わなければならないとする制度です。
最低賃金の目的については、最低賃金法第1条に下記のようにあります。
第1条(目的)
この法律は、賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする
つまり、最低賃金とは「労働者の最低限の生活を保障し、国民経済を回していく」ために定められているのです。
そのため、使用者と労働者の間で最低賃金を下回った金額で雇用契約を結んだ場合、法律によって無効とされます。もし給与の支払い額が最低賃金以下だった場合、差額の支払いが必要になり、罰則(50万円以下の罰金)が科される場合もあります。
最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金です。残業代やボーナスは含まれません。
では、次項にて2023年度の最低賃金引き上げについてみていきましょう。
- Webサイト 厚生労働省 必ずチェック!最低賃金を一部抜粋・編集
2023年度の方向性について
地方最低賃金審議会が答申した令和5年度の地域別最低賃金の改定額の取りまとめ報告(2023年8月18日に公表)には、下記の通り記されています。
- 47都道府県で、39円~47円の引上げ(引上げ額が47円は2県、46円は2県、45円は4県、44円は5県、43円は2県、42円は4県、41円は10都府県、40円は17道府県、39円は1県)
- 改定額の全国加重平均額は1,004円(昨年度961円)
- 全国加重平均額43円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
- 最高額(1,113円)に対する最低額(893円)の比率は、80.2%(昨年度は79.6%。なお、この比率は9年連続の改善)
令和5年度の地域別最低賃金答弁結果によると、最も高いのは東京で1,113円でした。
次いで高いのが神奈川の1,112円、大阪の1,064円という結果でした。
昨年、1,000円を超えている都道府県は東京・神奈川・大阪の3都府県でしたが、令和5年度では埼玉・愛知・千葉・京都・兵庫の5府県の最低賃金も1,000円を超えました。
- 上記は2023年10月時点でのデータです。
職業別・求職賃金~求職者が希望する賃金はいくら?~
最低賃金とは「労働者の最低限の生活を保障し、国民経済を回していく」ために定められていると、上述しましたが、企業の採用活動においては、最低賃金を上回っているということだけでは、なかなか応募の獲得には繋がらないのが現状です。最低賃金と合わせて、求職者が希望する賃金はどの程度なのか、自社の求人条件の給与と乖離がないか確認することが大事です。
そこで、東京労働局が出している職業別求人・求職賃金状況をまとめてみました。求職賃金とは、その名の通り「求職者が希望する賃金」のことです。
- 上記はあくまで東京労働局にて受理した求人データであり、就業地が他県である場合も含まれます。
こういったデータは、各都道府県のハローワークで出されています。採用を開始するときは勿論、採用活動に苦戦している際に、参考にしたい数字です。
まとめ
- 最低賃金引き上げの理由は、「労働者の最低限の生活保障」と「それにより国民経済を回すこと」
- 2023年度は、全国加重平均1,004円、過去最高の上昇額である43円となる見込み。
例年9月は多くの求人が出される時期です。2023年度の最低賃金の施行自体は10月からの予定ではありますが、ある程度の予想・見込み額が出始めるこのタイミングで今一度、求人を出す地域の最低賃金や求職賃金を確認し、効果的な求人広告を出していく必要があります。
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