求人募集を掲載しても応募が全くないという状況は、採用担当者が最も避けたい事態です。応募がない原因を考えると、自社の魅力を適切に伝えられていなかったり、募集方法そのものに原因がある場合があります。
そこで今回は応募がない場合の考え方や対策をご紹介します。
なぜ求人応募が集まらないのか?

求人に応募がない理由として考えられることはいくつかありますが、ここでは「改善が難しい理由」と「改善可能な理由」に分けてご紹介します。改善が難しいものに対しては企業や社会全体での抜本的な改革が必要なことが多いですが、改善可能な理由に対しては的確な対策を練ることで応募の向上が見込めます。今すぐに取り組みができることから実施していきましょう。
人口減少に伴い求職者も減少した
企業の力ではどうしても改善しがたい理由のひとつとして、人口減少という現実が存在しています。残念ながらこの傾向は今後も続くことがわかっています。さらに高齢化も進み、内閣府が発表したデータによれば2060年には、総人口が9,000万人を割るそうです。これは、働く人口も減ってしまうということです。目を背けたい現実ではありますが、企業の力で改善できることではないので、現状を理解した上で、別の原因に目を向けてみましょう。
情報が求人媒体内で埋もれている
インターネットが普及した現在では、Webでの求職活動が主流になりつつあります。多くの企業が求人媒体に情報を載せているため、インターネット上には膨大な量の求人情報が常に更新され続けます。しかし、求職者は全てをくまなくチェックしているわけではありません。2~3サイトだけを見比べて応募するという場合も多くみられます。
企業も本来なら全ての媒体に掲載しておく事で機会損失を防ぎたいところですが、採用費の予算もあるため、全ての求人媒体に広告を出すことができない事情などがあります。
そのような状況の中、採用の担当者ができることとして、広告出稿している求人媒体をこまめにチェックし、自社の募集ページが埋もれてしまっていないか定期的にチェックしましょう。そして、埋もれてしまっている場合には、媒体の担当者に相談してみましょう。そして、もしも効果が得られない場合には別の媒体の使用を検討することも必要です。このような比較検討を繰り返すことで、自社と相性の良い募集方法が明確になってきます。
求人広告の内容が魅力的でない
前述の通り、膨大な量の求人情報を元に求職者が会社を選ぶという現状があります。そのため、内容が薄かったり具体性に欠けていたりすると、多くの場合選択肢の候補として挙がらないことがあります。こういった事態を防ぐために、自社の求人広告に下記のようなポイントがないかチェックしてみてください。

(1)仕事内容がイメージしづらい
例えば「データ入力」「電話対応」などは求人広告内によく見る仕事内容ですが、より具体的な表現でどのような仕事なのかイメージできるように記載することが重要です。これらを「データ入力」→「売上のデータ入力」「在庫管理のためのデータ入力」、「電話対応」→「お客様からのお問合せ電話対応」などに表記を変更するだけでも、仕事内容が明確になります。詳細な業務内容についてはテキスト情報だけでは伝わらない部分もあるため、実際に来社してもらった際や、面談の際に説明をするのが望ましいですが、事前情報に適度な具体性を持たせておくことも重要です。
(2)求職者へのハードルが高すぎる
採用活動において、スキルや資格を重視することはよくあります。しかし、それらを強く主張しすぎたり必須条件として提示してしまうと、条件のハードルの高さから応募を断念する求職者がでてくる可能性も考えられます。コストをかけて採用活動をしても間口が必要以上に狭くなってはもったいないので、応募の段階ではある程度受け皿を広く持っておくことも重要です。
(3)募集条件で見劣りしてしまう
ある調査によると、転職者の平均応募数は7.5社だそうです。このように大抵の場合求職者は複数の企業に応募をしているため、給与や福利厚生で見劣りをしてしまうと優秀な人材は他社を優先的に検討する可能性もあります。
これらの条件はなかなか見直すのが難しい側面もありますが、他社の情報と自社の情報を見比べてみた時に圧倒的に魅力的でない場合などは、募集条件の修正を検討してみても良いかもしれません。
(4)募集先の適切な選定ができていない
そもそも求人広告出稿の選定が間違っている場合もあります。求人媒体にはWebや紙など様々な種類がありますが、読み手の層はそれぞれで全く違います。
例えば、地域密着の洋菓子店が求人を出す際には、地域の紙媒体などが最初に検討にあがります。もちろん求人内容や採用活動の背景にもよりますが、地域密着の店舗における求人で全国規模の大型媒体で求人を募集する必要性が高いとは言えないからです。今一度、求人媒体それぞれの特性をよく知り、自社とのマッチング度合いを確認しましょう。
(5)採用ページが古い
求職者の約80%が、応募する際に企業のホームページをチェックしていると言われていますので、求人媒体に募集を出す一方で、自社のホームページも最新の情報を掲載しておくとよいでしょう。
自社のホームページを活用して求職者を集めることができれば、求人媒体を活用するよりも採用コストが少なくすみます。定期的にメンテナンスを行い、社員インタビューや社長からのメッセージなどもこまめに更新することで、求職者に対して企業の雰囲気や採用への熱意を伝えることができるでしょう。
求人応募を成功させる対策方法
ここからは、今までに紹介した「求人に応募が来ない原因」のうち、改善可能なものに対してどのような対策をしたら良いのかを紹介します。まずは今すぐにでも対応可能な、求人広告の内容変更や募集先の求人媒体の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。

求人広告の見直し
まずは求人媒体などに出している求人原稿や内容の見直しをしてみてください。
「いつ/どこで/だれが/なにを/なぜ/どのように」…これらが明確になった情報伝達がされているでしょうか。また、「自社の魅力は伝わっているのか」「仕事内容の具体的なイメージは持ってもらえそうか」「他社に比べて見劣りしていないか」「そこをフォローできるような情報は載っているのか」など、採用計画と求める人物像などと照らしあわせながら、求人広告の中に企業としてのブレや求職者の不安を煽るような内容がないかをチェックしましょう。状況に合わせて、使用している写真なども刷新した方が良いこともあります。
募集先の選び直し
次に募集を出している媒体と、自社の相性はあっているのでしょうか。求人媒体の種類が膨大にある昨今、自社に適した募集先に求人広告が出ていることは人材が集まる必須条件のひとつです。
職種に特化した媒体も多数ありますし、媒体によって閲覧者の色はある程度明確化されています。また、最初に掲載した時とは媒体のコンセプトが変わっている可能性なども考えられますので、今現在求人広告を掲載している媒体はもちろん、他媒体のことを良く調べ直してもう一度見極めましょう。
まとめ
求人に応募が来ない原因は、多々考えられます。人口の減少など、企業の力だけではどうにもならないことはさておき、求人広告の内容や募集先など改善できる要因に関しては細かく見直しましょう。ひとつずつ改善していって、効果を分析してみれば、企業の未来に役立つ有効なノウハウとして残すことができるでしょう。